ライオンハートを受け継ぐ者 2代目 アンディ

文字が読みずらくなって気がついた。
図書室の中はうす暗くなりはじめている。
a0197626_16471430.gif
「もうこんな時間か…」

開け放った窓からは、夕げの香りがした。
今日、議長さんのうちの晩ごはんは魚のシチューだろうか。。とぼんやり考え、
よいしょ、と席を立つ。

図書室には特別な人しか読むのを許されない本が、何冊もある。
そのためか、利用する人はほとんどいない。
でも貸し出しは行っていて、名前さえきちんと記入していけば持ち出しが可能な本は家へ持って帰っても良いとのこと。
国民とサイファ評議会との信頼関係の上に成り立っている。

もっとも、貴重な本には強力な魔法がかけられていて、許された人以外が読もうとしても白紙でしかなく、ふしぎな声がするという話だ。

ごくり。。。

うす暗い部屋の隅を見つめていると、何か出てくるんじゃないかと背すじが寒くなる。
今度はランプを持ってこようと思いつつ、図書室を出た。

a0197626_16522255.gif
「ふぅ。」

雨が降ったのか、神殿前の広場がぬれていた。
今日の夕ご飯、うちはなんだろう。

「アンディさん!」
呼ばれた方を振り向いた。
顔を見なくても、そのかわいい声の主は誰なのか、僕はもちろんわかるけれど。

a0197626_16535914.gif
「ラナベルちゃん、どうしたの?今帰り?」

彼女は小さな水たまりを身軽に飛びこえて、ふわりと着地した。

a0197626_16541817.gif
「友だちと、神殿の中をたんけんしていたの。アンディさんは図書室?」

a0197626_16553655.gif
「うん。送っていくよ」

自然と手をつなぐ。

a0197626_1657054.gif
「今日はなんの本を借りたの?」

ラナベルちゃんは、くちびるの端にほほえみを残したまま静かに話す。
僕はずっとそのしぐさが美しいと思っていた。
まだ学生の女の子なのに。

a0197626_1658870.gif
「今日はナルル王国から輸入されてきた本だよ。王国の歴史や暮らしが書いてある本。」

a0197626_16585282.gif
「おもしろそう!こんど教えてね!」

a0197626_16591393.gif
「着いた。じゃあ、またね。お父さんとお母さんによろしくね」

a0197626_1701126.gif
「ありがとう。」

戸口からはあたたかい家庭の灯りがもれている。
彼女の顔は見えないけれど、夕闇の中できっと微笑んでいる。



ラナベルちゃんが成人するまで、あと一年。
[PR]
by bokka-0831 | 2015-10-06 17:03 | ■psp版サブA国